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診断のポイント 〜プライマリ・ケアを中心に〜

うつ病患者の8〜9割は、プライマリ・ケアを最初に受診するとの報告があり、早期発見の重要性がいわれている。うつ病を見逃さず、専門医との連携をはかるタイミングについて紹介する。

軽症うつ病を見逃さないためのコツ1,2)

  1. うつ病の可能性を常々考慮しておく。
  2. 患者の表情・会話(明るく元気そうな)に惑わされない
  3. 主訴とは別に自律神経症状があれば軽症うつ病を疑う
  4. 症状より疑う:頭重感、めまい感、全身倦怠感、不眠など
  5. 問診より疑う:気分の日内変動、睡眠障害、食欲不振など
  6. 精神面・生活面より疑う:意欲や集中力の低下、興味・関心の喪失、性格・仕事の仕方より
解説
  1. プライマリ・ケア医を受診する患者は身体症状が主訴であるため、医師がうつ病の可能性を考慮しておかなければ、見逃してしまう可能性がある2)
  2. 人前では無理して明るく振舞ううつ病患者が存在するため、外見から診断するのはむずかしく、問診内容から判断することが大切である1)。患者の家族からの客観的な情報も参考にする。
  3. うつ病は、気分障害だけでなく、全身倦怠感、口渇、頭痛、便秘等の自律神経症状が高頻度にみられる2)
  4. 軽症から中等症のうつ病患者は、頭痛、めまい、倦怠感などの身体症状を訴えることが多い。特に、重く締めつけられるような頭の重みは、うつ病患者に特徴的な症状といわれている1)
  5. うつ病の症状は、一般に朝に悪化し、午後から夜にかけて徐々に改善するという日内変動がみられる2)。また、睡眠障害と食欲不振が強い場合は、うつ病の可能性が高い。
  6. 最近、仕事や勉強がはかどらない、今まで楽しんでいた趣味に興味が持てないような場合はうつ病を疑う。また、責任感が強く、几帳面で、仕事熱心な人は、うつ病になりやすいといわれている1)

専門医に紹介するタイミング3,4)

  1. 診断に迷う場合
  2. 第一選択の抗うつ薬で効果が認められない場合
  3. 重症うつ病の場合
  4. 自殺の危険性がある場合
  5. 産後うつ病の場合
  6. 脳器質障害が疑われる場合
  7. アルコール依存症が疑われる場合
  8. 躁状態が出現した場合
解説
  1. 統合失調症やパーソナリティ障害との合併や、見当識障害があり痴呆との鑑別が必要な症例では、すみやかに専門医へ紹介する1)
  2. 第一選択薬を使用し、4週間、副作用を勘案しながら最高用量まで増量して、経過を観察後、効果が期待できないと判断した場合1)
  3. 心気妄想、罪業妄想、貧困妄想など精神病像を伴ったうつ病は、専門医による鑑別診断が必要である1)
  4. イライラや焦燥感が強まってきたり、希死念慮が強くなってきた場合は、自殺予防の観点から専門医の介入が必要となる3,4)。実際に自殺行動があり、未遂であった場合は、必要に応じて入院などの手段も考慮する。
  5. 産後うつ病は児童虐待につながることもあるため、早期に専門医へ紹介する必要がある1)
  6. 適切にうつ病の治療を行っても症状が改善しない場合は、脳梗塞やアルツハイマー型老年期痴呆など脳器質障害による影響を受けている場合がある。高齢者の場合は、脳器質性の痴呆と仮性痴呆との鑑別を行う1,3)
  7. アルコール依存症とうつ病の合併は数多く報告されているが、両者を合併すると自殺率が高まるため、多量飲酒を制御できない場合は、専門医の介入が必要となる2)
  8. 4日以上多弁、多動などの活動性が高まった状態が持続し、浪費傾向、睡眠欲求の低下など躁状態が疑われる場合は、専門医へ紹介し、治療方針を再考する1)
【参考文献】
  1. 中井吉英ほか:内科医の治療上の注意,内科,2003,92(4):649-653
  2. 鹿島晴雄、宮岡等(編):うつ病のすべて−早期発見から治療まで−,永井書店,2003
  3. 上島国利、樋口輝彦、野村総一郎(編):今日のうつ病,アルタ出版,2004
  4. 日本医師会監修:自殺予防マニュアル 一般医療機関におけるうつ状態・うつ病の早期発見とその対応,明石書店,2003
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